(水道水)pHが8.5以上では塩素による殺菌力が低下し、pHが6.5以下では、浄水処理過程の凝集効果が低下するといわれています。逆にpHが6.5〜8.5は、水道管や給水装置等の腐食防止の点からも望ましい範囲といえます。
pHは、水中の化学的作用や生物作用に大きな影響を与えます。強い酸性やアルカリ性の水の中では、微生物は活動できず、アルカリ側では金属の水酸化物が生成して透明度が下がったり、底泥の堆積量が増えたりしやすく、酸性側では土壌や底泥中の重金属類が溶出しやすくなります。
(雨水) 溶存物質等により強い酸性を示すことがあり、pHが5.6以下の雨を酸性雨と定義づけています。(大気中に存在する炭酸ガスが、雨水に溶け込み平衡状態になったときのpHは5.6です。)
(海水) 通常、pHは7.8〜8.3のアルカリ性を示します。
(湖沼水)特に夏季の成層期には、表層は藻類の炭酸同化作用(生物が二酸化炭素を体に取り入れ、生物自身の体に合成する作用)でアルカリ性を示し、pHが9〜10に達することがあります。反対に低層は、プランクトンの分解で酸性を示します。
(河川水)通常、PHが6.5〜8.5を示します。河口での海水の混入や石灰岩地帯や田畑など流域の地質、生活排水、工場排水などの人為汚染、夏期における植物プランクトンの光合成等の要因により、酸性にもアルカリ性にもなり広い範囲の値を示します。
(地下水)土壌中の生物作用によって生じた二酸化炭素のために、酸性側のものが多くみられます。