●水道水にはトリハロメタン(発がん性物質)は必ずあります。
現在の日本では、多かれ少なかれトリハロメタンが入っています。トリハロメタンの発ガン性が最初に問題になったのは、アメリカのミシシッピー川の最下流にあるニューオーリンズ市で、多数の住民を対象にしてガンの発生状況を調査したところ、地下水を水源とする他の市に比べて、人口10万人当たりのガン死が33人も多かったことがわかりました。トリハロメタンは、水中の有機物と消毒用の塩素が反応してできる化学物質です。大量に摂取すると中枢機能低下、肝臓障害、腎臓障害、催奇形性、発がん性などがあり、痴呆、イライラ、疲れやすい、無気力などの原因にもなると言われています。自然の状態の水には、どれほど汚れていても、トリハロメタンは存在しません。皮肉なことに、水質浄化のために塩素消毒をすることによって、生じてしまうのです。
今、ほとんどの浄水場で行っている急速ろ過法では、水を処理する前後に塩素を入れています。最初の塩素はアンモニアやマンガンなどを取り除くため、そしてあとの塩素は各家庭まで届く間に起こるかもしれない事故に対処するためです。しかし問題なのは、前塩素処理と呼ばれている最初の塩素で、これが水中のフミン質と結びついてトリハロメタンができてしまうことです。(フミン質とは、水中に棲んでいる微生物によっても分解されずに残る有機物のことです。)水中にはたくさんの微生物が棲んでいて、水中の酸素を使って汚濁物を分解し、きれいに浄化してしまうのです。ところが、生活排水や工場排水、下水処理水などが大量に流れ込むと、自浄力をはるかに上回ってしまい、水には有機物がたくさん残ってしまいます。これらのフミン質が塩素と出会うことによって、トリハロメタンが発生するというわけです。